ハト場日記

Working, Reading, and Wondering

2021-01-01から1年間の記事一覧

2021年に読んだ本を振り返る

2021年も残すところあと2日。今年もコロナのおかげで読書が捗った一年だったようで、読書メーターで2021年に読んだ本をまとめてみたら、今年は合計で60冊読んでいた。基本的に読む速度はそれほど速いほうでもないし、それに加えて、人文系の時間のかかる本や…

【関東旅】東京は葛飾の柴又よ

『男はつらいよ』巡礼の旅、というわけでもないが、しばらく東京に行く用事があったので、いつか行ってみようと思っていた葛飾区柴又に行ってきた。 柴又というと映画でもよく映される柴又駅なのだが、よく考えると寅さんはいつも江戸川を歩いて家に向かって…

韓国のサイコサスペンス映画『死体が消えた夜』

韓国のサイコサスペンス映画『死体が消えた夜』。主演は『殺人の追憶』でも有名なキム・サンギョン。 若い学生との不倫の果てに、完全犯罪となるはずの方法で妻を殺めた大学教授。しかし、ある日その妻の死体が盗まれてしまう。誰が死体を盗んだのか。妻は生…

韓国映画『女は冷たい嘘をつく』|痛い思いをするのはいつも貧乏人だ

韓国社会の暗部を描いた失踪ミステリー(?)。男性中心で、かつ外国人に対して排外的な社会。韓国でも大きな問題だが、日本にもほぼそのまま通じるテーマ(そしてなかなか改善されないのも共通している)。 痛い思いをするのはいつも貧乏人だ。やりきれない…

マ・ドンソク主演『悪人伝』|3つの狂気が入り乱れる韓国のバイオレンスアクション

マ・ドンソク主演のバイオレンスアクション。ノワール映画のようでもあり、ほっとさせるコメディ要素もあり、思いのほか楽しめた。刑事vsヤクザ、刑事vs殺人鬼というのはよくあるが、この3者が交差するというのは結構珍しい。とはいえ、それほどプロットも込…

倍賞千恵子『お兄ちゃん』

『男はつらいよ』シリーズでさくらを演じた倍賞千恵子が、渥美清との思い出を中心に語る。渥美清とはどういう人だったのか。倍賞さんからすると、寅さんが演じる愚兄とは真逆で、いつも自分の幸せを気にかけてくれる、面白い話を聞かせてくれる、相談にもち…

山田洋次のロードムービー『家族』|「古き良き」日本の姿と、そこで前を向いて一生懸命生きる人々

長崎の伊王島に住む一家族。島での暮らしを捨て、北海道の開拓村での新しい生活を目指す。「古き良き」日本をじっくりと堪能できるロードムービー。期待、失望、混乱、喪失、疲労、怒り。和解の後に再び訪れる喪失。しかし冬も永遠には続かない。春が訪れ、…

小林信彦『おかしな男 渥美清』|神格化されていない渥美清評伝

評論家小林信彦が渥美清の思い出をまとめた「評伝」。神格化されている渥美清を冷静に語り、ときには非常に厳しい。それゆえ信頼が置ける。 渥美清との距離感としては、何でも打ち明けられる友人ではないが、顔を見ればゆっくり話したくなる、気に入っている…

『監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影』|変化が必要だ。でもどうやって?

ドキュメンタリー『監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影』。SNSや現代のデジタルテクノロジーによる弊害を告発したドキュメンタリー映画。 「告発」しているのはこの問題についてはインサイダーとも言える、テック業界出身者たち。GAFA出身の、それも…

『Seaspiracy 偽りのサステイナブル漁業』|責任のある漁業とは?魚食を続けるべきか否か

近所の本屋に行ってみれば少なくとも1冊は見つかるであろう「サステイナブル」関連本。気候変動、人口増加などの対抗策の1つとして近年大きく崇められ、一種の流行となっている。 このドキュメンタリー映画では漁業におけるサステイナブル、そして世界的に隠…

SF映画『エリジウム』

先日観た映画版『21世紀の資本』で紹介されていた作品『エリジウム』。 2154年。大気汚染や人口爆発によって荒廃した地球。超裕福層は荒れた地球を逃れ、衛星軌道上に建設したスペースコロニーに移住した。 ディストピア的な近未来を描いた本作。SF作品では…

映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』

政治家小川淳也を追ったドキュメンタリー映画。自分は、政治についてどちらかというと無知な方であるが、小川淳也氏については、今年の夏頃、何かの記事で目にして気になったか、そのへんの詳しい経緯は忘れてしまったが、興味を覚えて『本当に君は総理大臣…

韓国映画『記憶の夜』

Netflixで公開されている韓国映画『記憶の夜』。 ヒントをチラ見させながらも、後半はまったく予想がつかない展開を見せる。このようなローラーコースター的展開は、もはや韓国映画ならではと言えるのかもしれない。何が現実で何がそうでないか観客もわから…

『幸福の黄色いハンカチ』

『男はつらいよ』で山田洋次作品が好きになったこともあって、いまさらながら『幸福の黄色いハンカチ』を観た。いやはや、いいじゃない。高倉健がまさに高倉健という感じ。桃井かおりは、いわゆる桃井かおりを少し抑えたような演技で、これも非常によかった…

金達寿『日本の中の朝鮮文化(1)相模・武蔵・上野・房総ほか』

日本の地名に隠れている朝鮮文化の面影。そんなことを考え始めたのは数年前、北九州市に旅行に行ったとき。レンタカーに乗って福岡から門司港に向かう途中、唐戸市場という場所に寄った。到着するちょうど手前、信号で止まっていたとき、交差点の標識をぼー…

久しぶりに古本大量購入

久しぶりに古本屋さんで大量購入。 どこまで読んだか少しうろ覚えだったが、リンカーン・ライムシリーズが安かったので何冊かカゴに入れてから、何かのギアが入ってしまったようで、その後どんどんカゴへ投入。推理小説系はほとんどジェフリー・ディーヴァー…

韓国ドラマ『地獄が呼んでいる』|アブラハムよ、イサクを守るのだ!

最近妙に韓国ドラマを押しているNetflixで今人気ナンバーワンという『地獄が呼んでいる』。ちょっと観てみるかと最初のエピソードを始めたら止まらなくなって、一気見。おかげでかなり寝不足気味。 www.netflix.com 俳優陣はユ・アイン、キム・ヒョンジュな…

ゴーリキー『どん底』|に・ん・げ・ん。って素晴らしい!のか?

ロシアの作家、ゴーリキーによる戯曲。先日仕事で最悪なフィードバックをもらって以来落ち込んでいる私ですが、「仕事で大失敗したときにおすすめ」といった感じでどこかのブログで紹介されていて手に取った作品。蓋を開けると(ページをめくると?)、仕事…

エラ・バーサド/スーザン・エルダキン『文学効能事典』

仕事で大失敗して、この暗く落ち込んだ精神を救うべくすがるように手に取った本書。 心身の様々な病、悩みに効能が期待される書物を紹介した本書。ほぼ海外の小説を扱っており、未翻訳のものも多いため、原書よりも取り扱っている書籍数が大きく減っているが…

韓国ドラマ『イカゲーム』

巷で噂の『イカゲーム』。全9話と比較的短いシリーズだったこともあり、3日ほどで一気見。 通常はドラマではあまり見かけないイ・ジョンジェが主演。ほかは、後半に出てくるあの人をのぞいては、ビックネームはいなかったが、みなよい演技だったと思う。パキ…

チョン・セラン『フィフティ・ピープル』

ふと、この世界には人が多すぎる、と思うことがある。外を少し歩いてみるだけで、何人、何十人、場所によっては何百人の人を見かける。自分の人生、生活だけを考えるのにも精一杯なのに、この人たちにも一人ひとり、同じ大きさの世界、生活があると思うとめ…

映画『21世紀の資本』|(僕みたいに)書籍版に挫折したあなたに

トマ・ピケティ『21世紀の資本』を基にしたドキュメンタリー作品。トマ・ピケティ本人が監修、出演となっている。ほかにも、ポール・メイソン、スティグリッツ、フランシス・フクヤマなど、自分ですら名前を知っているような人も出ていた。 書籍の『21世紀の…

久しぶりの帰省

少し前後したが、先月末頃に、コロナ禍に入ってから初めて実家に帰省したときの日記が下書きに残っていた。 ----- 妻は仕事だったので今回は本当に久しぶりに1人での帰省となった。 目的だったイベントに参加し、その後は基本的に食べて寝るの数日間。家族と…

久しぶりに両親と九州旅行②:軍艦島~平和公園~福岡の山の上

嬉野温泉を出発し、一路長崎へ。目指すは軍艦島。 13時出発のツアーで、30分前までの集合ということで、昼食の時間があまりなく、ホテルの朝食も結構な量だったこともあり、軽くカステラとコーヒーをいただいた。 今回利用したのはやまさ海運のフェリー。残…

久しぶりに両親と九州旅行①:博多~伊万里~九十九島~嬉野温泉

この間実家に帰省したばかりだが、その流れで今度は両親が九州まで遊びに来た。ちょうど陽性者数も大幅に減っているし、次の第6波がいつ襲ってくるかわからないので、今のうちに久しぶりの遠出をしようという魂胆である。 今回は福岡、佐賀、長崎を回ってき…

沈み込んだ一日

今日は2500wほどの第一訳。ここしばらく気分が塞ぎ込んでいて、仕事に集中できない。お菓子をつまんだり、コーヒーを入れたり、お茶を飲んだり、ガムをかんだり、動画を見たり。とにかく集中できない。不思議なことに体にも力が入らない。食べものもあまり美…

映画『マルクス・エンゲルス』

カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスの出会いから『共産党宣言』の執筆までを描いた本作。ヨーロッパ各地を移動しながら活躍する2人。マルクスの強烈な批判的精神。そしてエンゲルスの革命に対する意欲が印象的だった。終盤近くのエンゲルスによるス…

恐怖の会議、『THE WIREシーズン3』

久しぶりの名古屋帰省から戻り、次の日には先週から戦々恐々としていた恐怖の会議に出席。悪い状況というのは、事前に想像するほど実際は悪くないというのが通説だが、今回に限っては想像通りの悪さだった。会議終了直後はそれほど落ち込まなかったことに驚…

歯医者と恐ろしきフィードバック会議

今日は今年2回目の歯医者。1回目は先週ドキドキしながら行ってきたが、今回は珍しく何も異常がなく、歯石取りだけとなった。左の奥歯が少し気になっていて、それも伝えたのだが、現状はまだ大丈夫そう。もう少し様子見ましょうとのこと。削ることに消極的な…

『THE WIRE/ザ・ワイヤー』シーズン2を観た

HBOの犯罪ドラマシリーズ『The Wire』のシーズン2。 衝撃を受けたシーズン1を観てからたぶん1年以上は経ってしまったが、数日前に見始めたら止まらなくなって、今日も夕方に仕事が終わってからずっと観ていて、今最終エピソードを見終わったばかり。もう夜中…