ハト場日記

Working, Reading, and Wondering

映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』

政治家小川淳也を追ったドキュメンタリー映画。自分は、政治についてどちらかというと無知な方であるが、小川淳也氏については、今年の夏頃、何かの記事で目にして気になったか、そのへんの詳しい経緯は忘れてしまったが、興味を覚えて『本当に君は総理大臣になれないのか』という書籍で知った。このときの自分の読書メモにはこう書かれていた。

少し変わった政治家、小川淳也氏の本。インタビューと半生を振り返るノンフィクション部が並行して進む。インタビューは「ガチンコ」ということだが、正直物足りない。政策内容も首をかしげるところがあり、それが詳しく説明されていないので、モヤモヤ感が残る。目指すタイムテーブル的にもそうとう厳しいという印象。スピーチをびしっときめれば世界が変わると信じているような節もある。本当に日本、そして世界を変えたいのか、それとも、日本を変えるために修行僧としてがんばっている自分が好きなだけなのか。後者でないことを祈りたい。

面白そうな政治家だが、言っていることが少し青臭い、また彼の提示している政策内容も首をかしげるところがあったりと、すぐに「よし頑張れ」と応援しようとは思わなかったが、先日の選挙では見事選挙区で勝利し、その後の立憲民主党の代表選にも名前が挙がっていたのでまた気になっていた。結果は泉氏になったが、小川さんになってもおかしくない雰囲気だったので、少し驚いていた。

というのも、この本の中には彼が目指す「日本改革原案」のタイムテーブルがあり、その冒頭に「202a年に党の新代表に就任」とあり、その後202b年に政権交代し総理大臣に就任、そして数々の政策に取り組むとあった。この夏の段階では、まず冒頭にある新代表からして厳しそうだと感じていたが、なんと半年もしないうちに代表選に名前が出たので、あれはまったく馬鹿げたタイムテーブルでもなかったのだと、少し反省したのであった。

さて、この映画。十数年にわたり小川氏を追ったドキュメンタリーとなっており、最初に立候補した頃にはまだ幼かった娘さんが、後半には立派に成長し、「娘」というたすきをかけて選挙応援しているなど、時間をかけた作品であることがリアルに感じられる。ただ、当初から映画化の構想があったわけではなく、実際は監督さんが定期的に小川さんと会い、話を聞き、カメラを回した素材を集めたという、ゆるい内容にはなっているが、これはこれでよいかもしれない。

ただ、この映画を見ても、小川氏の印象はあまり変わらなかった。彼の青臭さというのが(いい意味で)当時から一貫したものだとわかったのはある。彼のウェットな演説はどうも個人的には苦手なのだが、あれが自然なスタイルなのだろうというのはわかった。希望の党への合流に関する動きなど、後で後悔している描写もあった。当然政治家とはいえ、いや政治家だからこそ間違うこともあるだろう。これは人間一般に言えることだと思うが、いかに自分の間違いをしっかりと認め、修正できるかどうか。「変わらない」というのは必ずしもいいことなのだろうか。思ったことはいくつかあった。

小川さんについては一つ気になっていることがある。いつだったか、斎藤幸平氏との対談をネットで見たのだが、そこで斎藤さんから、小川さんが考えている消費税増税案について質問があった。これは自分も本を読んだときに非常に気になったことなのだが、そこで小川さんは、「実は増税については今、考え直しているところで、うんぬんかんぬん・・・」と、方向性を変えたようなことを言っていた。これは本当に前向きに考え直したことなのか、それとも単純に斎藤さんに合わせようとその場で適当にごまかしで言ったことなのか、少し判断しにくかった。案の定、先日の代表選でもネットで突っ込まれていたようなので、この辺を今後どう考えるのか、もう少し知りたい。

と思っていたら、長らく入手困難となっていた彼の政策本がKindleでアップデートされていた。目次を見ると、消費税あたりについてもアップデートがあるようだ。そういえば、斎藤さんとの対談でもアップデート版を再販する予定だと近々と話していた。時間を見つけて読んでみようと思う。

www.nazekimi.com