ハト場日記

Working, Reading, and Wondering

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

2021年に読んだ本を振り返る

2021年も残すところあと2日。今年もコロナのおかげで読書が捗った一年だったようで、読書メーターで2021年に読んだ本をまとめてみたら、今年は合計で60冊読んでいた。基本的に読む速度はそれほど速いほうでもないし、それに加えて、人文系の時間のかかる本や…

【関東旅】東京は葛飾の柴又よ

『男はつらいよ』巡礼の旅、というわけでもないが、しばらく東京に行く用事があったので、いつか行ってみようと思っていた葛飾区柴又に行ってきた。 柴又というと映画でもよく映される柴又駅なのだが、よく考えると寅さんはいつも江戸川を歩いて家に向かって…

韓国のサイコサスペンス映画『死体が消えた夜』

韓国のサイコサスペンス映画『死体が消えた夜』。主演は『殺人の追憶』でも有名なキム・サンギョン。 若い学生との不倫の果てに、完全犯罪となるはずの方法で妻を殺めた大学教授。しかし、ある日その妻の死体が盗まれてしまう。誰が死体を盗んだのか。妻は生…

韓国映画『女は冷たい嘘をつく』|痛い思いをするのはいつも貧乏人だ

韓国社会の暗部を描いた失踪ミステリー(?)。男性中心で、かつ外国人に対して排外的な社会。韓国でも大きな問題だが、日本にもほぼそのまま通じるテーマ(そしてなかなか改善されないのも共通している)。 痛い思いをするのはいつも貧乏人だ。やりきれない…

マ・ドンソク主演『悪人伝』|3つの狂気が入り乱れる韓国のバイオレンスアクション

マ・ドンソク主演のバイオレンスアクション。ノワール映画のようでもあり、ほっとさせるコメディ要素もあり、思いのほか楽しめた。刑事vsヤクザ、刑事vs殺人鬼というのはよくあるが、この3者が交差するというのは結構珍しい。とはいえ、それほどプロットも込…

倍賞千恵子『お兄ちゃん』

『男はつらいよ』シリーズでさくらを演じた倍賞千恵子が、渥美清との思い出を中心に語る。渥美清とはどういう人だったのか。倍賞さんからすると、寅さんが演じる愚兄とは真逆で、いつも自分の幸せを気にかけてくれる、面白い話を聞かせてくれる、相談にもち…

山田洋次のロードムービー『家族』|「古き良き」日本の姿と、そこで前を向いて一生懸命生きる人々

長崎の伊王島に住む一家族。島での暮らしを捨て、北海道の開拓村での新しい生活を目指す。「古き良き」日本をじっくりと堪能できるロードムービー。期待、失望、混乱、喪失、疲労、怒り。和解の後に再び訪れる喪失。しかし冬も永遠には続かない。春が訪れ、…

小林信彦『おかしな男 渥美清』|神格化されていない渥美清評伝

評論家小林信彦が渥美清の思い出をまとめた「評伝」。神格化されている渥美清を冷静に語り、ときには非常に厳しい。それゆえ信頼が置ける。 渥美清との距離感としては、何でも打ち明けられる友人ではないが、顔を見ればゆっくり話したくなる、気に入っている…

『監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影』|変化が必要だ。でもどうやって?

ドキュメンタリー『監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影』。SNSや現代のデジタルテクノロジーによる弊害を告発したドキュメンタリー映画。 「告発」しているのはこの問題についてはインサイダーとも言える、テック業界出身者たち。GAFA出身の、それも…

『Seaspiracy 偽りのサステイナブル漁業』|責任のある漁業とは?魚食を続けるべきか否か

近所の本屋に行ってみれば少なくとも1冊は見つかるであろう「サステイナブル」関連本。気候変動、人口増加などの対抗策の1つとして近年大きく崇められ、一種の流行となっている。 このドキュメンタリー映画では漁業におけるサステイナブル、そして世界的に隠…

SF映画『エリジウム』

先日観た映画版『21世紀の資本』で紹介されていた作品『エリジウム』。 2154年。大気汚染や人口爆発によって荒廃した地球。超裕福層は荒れた地球を逃れ、衛星軌道上に建設したスペースコロニーに移住した。 ディストピア的な近未来を描いた本作。SF作品では…

映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』

政治家小川淳也を追ったドキュメンタリー映画。自分は、政治についてどちらかというと無知な方であるが、小川淳也氏については、今年の夏頃、何かの記事で目にして気になったか、そのへんの詳しい経緯は忘れてしまったが、興味を覚えて『本当に君は総理大臣…

韓国映画『記憶の夜』

Netflixで公開されている韓国映画『記憶の夜』。 ヒントをチラ見させながらも、後半はまったく予想がつかない展開を見せる。このようなローラーコースター的展開は、もはや韓国映画ならではと言えるのかもしれない。何が現実で何がそうでないか観客もわから…

『幸福の黄色いハンカチ』

『男はつらいよ』で山田洋次作品が好きになったこともあって、いまさらながら『幸福の黄色いハンカチ』を観た。いやはや、いいじゃない。高倉健がまさに高倉健という感じ。桃井かおりは、いわゆる桃井かおりを少し抑えたような演技で、これも非常によかった…

金達寿『日本の中の朝鮮文化(1)相模・武蔵・上野・房総ほか』

日本の地名に隠れている朝鮮文化の面影。そんなことを考え始めたのは数年前、北九州市に旅行に行ったとき。レンタカーに乗って福岡から門司港に向かう途中、唐戸市場という場所に寄った。到着するちょうど手前、信号で止まっていたとき、交差点の標識をぼー…