ハト場日記

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マ・ドンソク主演『悪人伝』|3つの狂気が入り乱れる韓国のバイオレンスアクション

マ・ドンソク主演のバイオレンスアクション。ノワール映画のようでもあり、ほっとさせるコメディ要素もあり、思いのほか楽しめた。刑事vsヤクザ、刑事vs殺人鬼というのはよくあるが、この3者が交差するというのは結構珍しい。とはいえ、それほどプロットも込み入ってないので、疲れた頭でも安心して楽しめるアクション映画。それも結構上等なものだ。

人類最強の肉体派ヤクザ、マ・ドンソク。警察内でもめてばかりの暴力刑事、キム・ムヨル。そして狂気の連続殺人犯、キム・ソンギュ。まさにヤクザ、刑事、悪魔のバトルロワイヤル。3人が3人とも役にどハマりしている。そして3人とも暴力的。映画の殺人犯というと知的なタイプが多いが、この作品ではどちらかというと力ずくで前へ前へ進むタイプ。子供の頃に虐待を受けていたり、また自室にも哲学書があったりと、殺人犯の若干の描写はあったが、そこはあまり深掘りされていなかった。形容詞としての「狂気の」で止まっている。少し物足りない気もしたが、その辺はメインのテーマではなかったのだろう。掘り下げたところで、二番煎じ感はある。

この映画に斬新なところがあるとすれば、この3つの勢力という組み合わせ。そしてヤクザと刑事の不思議な連係プレイ・連帯感。ブロマンスというわけでもないが、ぶつかりながら連携し、またぶつかり、しかし肝のところではしっかりと手を組む。エンディングも無理はない。

マ・ドンソクは好きでも、マ・ドンソク主演映画はなぜか途中で飽きてしまうパターンが多い。でもこれは久しぶりに楽しめた。たぶん今回は主役レベルが3人いたからだろう。やはり1人だけで主演させるより、少し裏に回るくらいのほうがしっくりくる。

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悪人伝(字幕版)

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