ハト場日記

Working, Reading, and Wondering

2020-01-01から1年間の記事一覧

映画『荊棘の秘密』|家族のことをどれだけ知っていますか

韓国映画『荊棘の秘密』をHuluで視聴。 後半は声も出ない。まさに、息をのむ展開。地域社会に染みこむ政治とそれによる対立、家族の不和、若者の冷酷さ、社会的な生き辛さなど、多くの要素が絡み合い、手の込んだストーリーに仕上がっている。それらはあくま…

2020年に読んだ本を振り返る

2020年も残すところあと数日。月並みだが、あっという間の1年だった。コロナが世界を震撼させた1年だったが、個人として振り返ると、思ったほど影響がなかったような気もする。 さて、これまた月並みだが、今年読んだ本を振り返ってみた。読書管理をしている…

余華『兄弟』|時代に抗うことはできないのか

忘れるなよ。オレたちは兄弟だぜ あの文化大革命から、現代に続く開放経済時代にわたり、その流れに翻弄された兄弟と、その周辺の人々の生き様を通し、中国の人々の「経験」を見事に描いた作品。血なまぐさく、時には笑い、時には泣き叫び、それでもなんとか…

映画『泥の河』

戦後間もない大阪を舞台とした映画。原作は宮本輝。製作は1981年。 主人公は川辺でうどん屋を営む3人家族と、川向かいに「引っ越してきた」家船で暮らす3人家族(家船に住む家族の母親は友情出演に近いが)。少年2人の友情、家族の絆、そして生々しい戦争の…

井伏鱒二『黒い雨』

おおい、ムクリコクリの雲、もう往んでくれえ、わしらあ非戦闘員じゃあ。おおい、もう往んでくれえ 毎年この時期には太平洋戦争関連の本を読んでいる。今年はコロナで頭がいっぱいだったのか、気がついたら8月6日を迎えていた。これはいかんと本棚を見たとこ…

ディケンズ『オリバー・ツイスト』

「すぐ前をご覧ください、お嬢様。その暗い水面を。心配したり、悲しんでくれたりする人もなく、川に飛び込んで人生を終える人なんて少しも珍しくありませんわ。何年先か何ヶ月先かわかりませんが、私はそんな風に人生を終えるんですわ、きっと」 ディケンズ…

池上英洋『よみがえる天才2 レオナルド・ダ・ヴィンチ』と旅の思い出

レオナルド・ダヴィンチの生涯と作品をざっと紹介する入門書。 芸術だけでなく発明家としても知られる、万能型の天才。実はかなりの努力家。そして未完成品ばかり生み出していたため、実際に完成品として残っているものが少ない。ヨーロッパに行くと、ミケラ…

中島岳志『保守と立憲』

中島さんのことを知ったのは、NHKの100分de名著 オルテガ「大衆の反逆」。そこで語られたリベラル保守、死者と共に生きるという考え方に惹かれ、図書館で見つけた本書を手に取った。 様々な媒体に掲載された評論・論考を集めた本書。章立てられてはいるが、…

ジョゼ・サラマーゴ『白の闇』

失明した男は両手を眼にもっていくと、身ぶり手ぶりで言った。なんにもない、まるで霧にまかれたか、ミルク色の海に落ちたようだ。 感染者が視力を失い、すべてが真っ白に見えてしまう謎の伝染病「白い悪魔」が広がった世界を描いた作品。 独特な語り口だ。…

サマセット・モーム『コスモポリタンズ』

ひょっとすると自分には(まだ)ほかの生き方があるのではないかという一種の開放感を感じた一冊。 「こんな話がありましてね・・・」で始まりそうな小噺が満載の短編集。こんなおじさんが親戚にいたら楽しいに違いない。 元は「コスモポリタン」という雑誌向け…

カレル・チャペック「いろいろな人たち」

カレル・チャペックはチェコの作家。「ロボット」という言葉の生みの親だそうだ。兄のヨゼフ・チャペックも有名な画家で、本書のカバーもお兄さんの絵らしい。このヨゼフはな地図の強制収容所で亡くなっている。 これは弟のカレル・チャペックのエッセイ集。…

フェルナンド・ペソア「新編 不穏の書、断章」

フェルナンド・ペソアの不穏の書。 社会的な「成功」や栄光を諦めた人。いわゆる非リア充。不安を抱えて生きている人にやさしいペソアさん。貿易会社で文書作成する仕事をしながら、空いた時間で創作活動に没頭したペソアさん。弱小フリーランサーの自分も、…

カミュ全集1:アストゥリアスの反乱・裏と表・結婚

カミュ全集1「アストゥリアスの反乱・裏と表・結婚」読了。 カミュの文学活動開始初期(1932〜1939年)の作品や論文、断片草稿が収録されている。年齢にすると19〜26歳となる。 最初に掲載されている論文は読むのが大変だった(正直なところかなり読み飛ばし…

積ん読入荷:金 達寿「朝鮮」など

韓国関連を中心に6冊。 金 達寿の「朝鮮」を買おうとAmazonで調べていたら、販売していた店の直接販売でクーポンが使えたので、条件に合わせるため結果6冊購入。気になっていた中公新書の「物語 韓国史」、茨木のり子「ハングルへの旅」、鯨統一郎「努力し…

よし君の話

いとこのよし君が亡くなった。 よし君に最後に会ったのは小学校低学年の頃。あの頃は夏休みによく一緒に遊んだ記憶があるが、それ以降は会う機会がなくなった。引きこもりがちだとか、鬱になったとかいう話は聞いていた。親戚一同の集まりにもめっきり顔を出…

「韓国 近い昔の旅―植民地時代をたどる」神谷 丹路

神谷 丹路さんの「韓国 近い昔の旅―植民地時代をたどる」を読んだ。これは、韓国に興味のある方に全力でおすすめしたい。残念ながら絶版状態だが、Amazonではまだ中古で手に入る。図書館でも読めるはず。 韓国 近い昔の旅―植民地時代をたどる 作者:神谷 丹路…

ブックオフへ初詣 2日目(2020年1月)

昨日に続き、今日も1日休めたので古本屋を巡ってきた。 yushinlee.hatenablog.com 今日は大型のブックオフ2軒とツタヤを参拝。合計12冊入荷。これで合計2400円ほど。かなりお買い得な日だった。 岩波文庫からはセネカとカフカ。「生の短さについて」は昔英語…

ブックオフへ初詣(2020年1月)

2020年初のブックオフへ。年始のセール祭りには参加出来なかったので、その分のリベンジ(?)。 今回は6冊ほど購入。すべて100円コーナーのもの。読みたかった「こころの処方箋」やイシグロの短編集、ツチヤ先生の本など。今日は連休の日曜日だけあって、家…

カミュ死後60年となる2020年はカミュ全集を読む

先日の1月4日はアルベール・カミュの命日だったが、今年の2020年で60周年となる。50周年だった2010年は、フランスのメディア等で広く取り上げられたらしいが、今年はどうなのだろうか。 フランスのテレビ局だと思うが、特集番組を組むなど、やはり少し動きが…

【韓国の冬と温泉】牙山のパラダイススパ道高に行ってきた

2020年の初風呂へ、牙山市の道道温泉に行ってきた。 義母は温陽温泉に行くとのことで、温陽温泉駅まで一緒に移動。市バスを逃してしまい、仕方なくタクシー移動。3人だとタクシーもコスパがいい。 温陽温泉はソウルからも電車一本でアクセスがよく、観光客に…