ハト場日記

Working, Reading, and Wondering

ワクチン2回目前日

明日はワクチン2回目。

1本目は腕の痛みが酷かったものの、発熱などはなかったが、2本目となるとさらに酷くなるのだろうか。とりあえず前回同様3日間休みを入れてはある。

ワクチン休暇前の仕事は夕方前に終了し、納品。少し骨の折れる仕事だったが、いい仕上がりだったと思うので満足。

その後、別の仕事が入った。軽めの仕事だったので、ワクチン休暇中にやることにして受注。今日も少し進んだのでいい感じだ。

夕食は久しぶりの担々麺。

夜は『白昼の死角』を読みながら、さっさと寝る。

映画『獄門島』(1977年)など

日曜日だというのに朝から仕事。

3000ワードほどの仕事を見直して、夕方頃納品。この会社の仕事は安いが、その分簡単で気に入っている。

昼は簡単にインスタント麺。夜は妻がチャプチェを作ってくれた。

夜は石坂浩二主演の『獄門島』を観た。1977年製作なので、生まれる前か。最近は古い日本映画をよく観ている。生まれる前にしては観たことのある俳優が多く、思い出してみるとほぼすべて『男はつらいよ』に出てた人々。大原麗子はマドンナ役で覚えているし、2代目おっちゃんも出ていた。

大昔に観た『八つ墓村』、そして何ヶ月か前に観た犬神家の一族』以来、金田一映画としては3作目。だが、どうも慣れない。当時のホラー要素というのがどうもしっくりこない。もうしばらく金田一はいいかなと思いつつも、もう一つ『悪魔の手毬唄』というのがあって、これだけは観ておきたい。

そして今少し調べたら、渥美清主演の『八つ墓村』というのもあるのか。これも観ておきたい。

エリック・ホッファーの『波止場日記』を十数ページ。エリック・ホッファーの日常の話を読みながら、日記もやはりいいもんだと、しみじみ思った。とまあ、これはもう何度も思っているが、そのタイミングで「そういえば、ブログ持っていた」と思い出し、どうせだれも読んでいないんだろうから、そこで日記を書き始めようと思い、今これを書いている。

韓国ドラマ『秘密の森』シーズン2

久しぶりにNetflixに再登録した。目当ては韓国ドラマ『秘密の森』。韓国ドラマだが、いわゆる韓流っぽいやつではなく、検察・警察を舞台とするクライムスリラー。恋愛要素もほぼない。

2年ほど前に観たシーズン1が抜群に面白く、シーズン2のウサワを聞いて3日ほどかけて一気に鑑賞。

シーズン1を超える内容ではなかったが、シーズン2も見応えあり。権力闘争や社会問題を取り上げ、そしてハラハラさせる展開は相変わらず。

検察官ファン・シモクを演じるチョ・スンウと、熱血刑事ハン・ヨジンを演じるペ・ドゥナのコンビも安定の活躍。脇を固める役者も素晴らしく、映像も相変わらずドラマとは思えないクオリティ。

ファン・シモクにいたっては、いまやカミュ『異邦人』のムルソー的なヒーローにも見えてきた。彼の人間離れした活躍(今シーズンは少し落ち着いていたが)と比較し、ハン・ヨジンはより人間的な、ウェットながらも自我を失わない、より共感できるヒーロー像を表している。

もしファン・シモクのような人間が主導して社会が変わるとしても、やはりそこには一種の絶望が残るだろうから、ハン・ヨジンやほかの「普通の」警察の人たちが活躍することで、実際の韓国社会に対する希望も見えてくるのだろう。普通の人々がどう活躍するか、そこが肝なんだろうと思う。実際にこのシーズン2でも、権力者の自己犠牲によってなんとか救われた部分も多かった。

しかし、やはりペ・ドゥナはよい。そして、まだ回収されていない伏線や、今後の活躍が期待されるキャラクターも出てきたので、絶対にシーズン3は制作されるはず。とりあえずはそれを観るまでは頑張って生きていこうと思う。

www.netflix.com

映画『沈黙、愛』

チェ・ミンシク主演の韓国サスペンス。

チェ・ミンシクには絶対の信頼を置いており、彼が出る映画には外れがないと思っていたが、本作も最高の出来ではないかもしれないが、満足のいく作品だった。

さて、一種の歪んだ親子関係を描いた本作。「金がなければ家族も、恋人も逃げていく」と語る金持ちパパ。悪いことをたくさんしたのだろう。何度も買収することで自分を助けてきた。新しいフィアンセに対する愛情は一見本物のように見えるが、すべては金の上で成り立つと信じてる彼だ。やはりどこかに矛盾を抱えているようにも見える。前妻との間に生まれた娘との関係性も、語る者によってはその愛情がどういうものなのか、見えてこない。そして娘とも仲のよい、正義感にあふれる弁護士を雇った理由は?この辺はすべてトリックに組み込まれているので、あまり語るまい。

さて、エンディングをどう見るか。それは愛情なのかと思う視聴者も多かっただろう。ゆがんでいるとはいえ、あくまで愛情なのかもしれない。あの登場人物があのようになったのは、見方を変えれば当然の報いでもあったとも思える。あの涙のシーンをみるところ、それにも多少なりとも意味があったのではないか。

それにしても、裕福層の金の力よ。金だー、金、金っ!

沈黙、愛(字幕版)

沈黙、愛(字幕版)

  • 発売日: 2018/11/07
  • メディア: Prime Video
 

 

映画『荊棘の秘密』|家族のことをどれだけ知っていますか

韓国映画『荊棘の秘密』をHuluで視聴。

後半は声も出ない。まさに、息をのむ展開。地域社会に染みこむ政治とそれによる対立、家族の不和、若者の冷酷さ、社会的な生き辛さなど、多くの要素が絡み合い、手の込んだストーリーに仕上がっている。それらはあくまで物語的な面白さを引き出すためのスパイスのように効いていて、焦点が定まっていないということでもない。また、映像の作り方、絵の切り方にも特徴があり、それが邪魔になっておらず、視聴者を適度な混乱に陥らせる。

主演女優さん、どこかで見たことある顔だと思ったら、少し前に妻が夢中になって見ていた『愛の不時着』の女優さんだとか。目力というか、次第に変貌していく主人公をよく演じていたと思う。いやはや、いい映画でした。

荊棘の秘密(字幕版)

荊棘の秘密(字幕版)

  • 発売日: 2016/12/02
  • メディア: Prime Video
 

2020年に読んだ本を振り返る

2020年も残すところあと数日。月並みだが、あっという間の1年だった。コロナが世界を震撼させた1年だったが、個人として振り返ると、思ったほど影響がなかったような気もする。

さて、これまた月並みだが、今年読んだ本を振り返ってみた。読書管理をしている読書メーターによると、今年は37冊。多いか少ないかよくわからないが、恐らく例年通りのペースだったように思う。

印象に残った本をいくつか挙げると、まずはブログでも取り上げた余華の『兄弟』。

yushinlee.hatenablog.com

現時点で読了してから数か月経っているが、今なお、後味のような余韻が残っているところを見ると、やはり何かしらの影響があったのだろう。長年気になってはいたが調べることができていなかった文化大革命の情景のようなものも垣間見ることができたのが大きい。 自分にも兄弟がいるものの、ほぼお互いに干渉し合わないという冷めた関係性もあり、どこか兄弟愛みたいなものに憧れもあるのかもしれない。

2冊目に挙げるとすると、川端康成の『雪国』だろう。 

雪国

雪国

 

かなり衝撃を受けたのだが、忙しい時期だったのかブログに書いていなかった。読書メーターに残っている感想を拾うと、次のようにある。

文学とは何なのかはわからないが、その「何か」を感じることができた。その点で、自分の読書人生での転換期となるかもしれない作品。美しい文章というのはこういうことなのかもしれない。情景豊かというはこういうことなのかもしれない。語らなくても伝わることもある。何度も読み返したい。

おそらく生まれて初めてだと思うが、その描写、文章に大きく感動した。どこか憧れを感じている時代が描写されていることも大きい。別に、自分が思っていて表現できなかったことを言語化しているとか、ストーリーにひねりがあって楽しめたとか、そういうことではなく、単に文章を読んでいて心地よかったのだ。こういった感情は、ある程度の読書を経験したからこそのものなのか、あるいはこの作品・著者だからなのかはわからない。読者としての自分の成長なのか、著者としての川端康成のすごさなのかわからない。できれば多少は前者だと思いたいが、やはり川端康成という人はすごいのだろう。

さて、最後にもう1冊挙げるとすると、まだ読書中ではあるが、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』。

Kindleで合本バージョンを購入して長らくデジタル積ん読しておいたもの。Go toなんちゃらで京都に一人旅に行くという機会があったので読み始めたのだが、読む手が止まらない。現在6巻。年内に読み終わると思っていたが、どうも年越しになりそうだ。ただ、焦る必要はない。ゆっくりと味わいながら竜馬の旅に付き添っている。フィクションだとは思っていても、大枠は史実ベースなので、読み終わってから史実を一つ一つ確認していく作業も楽しそうだ。司馬遼太郎の作品は、歴史を学ぼうという気持ちにさせてくれる。司馬遼太郎の功績はなんと言ってもそこにあると思う。

そのほかにも、ディケンズが思いのほか面白かったり、スタインベックの『ハツカネズミと人間』にも震えたりと、読書という意味ではよい1年だった。

yushinlee.hatenablog.com

一方、年始に掲げたカミュ全集の読破はまったく進んでいない。こちらは来年に持ち越し。 

yushinlee.hatenablog.com 

余華『兄弟』|時代に抗うことはできないのか

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忘れるなよ。オレたちは兄弟だぜ

あの文化大革命から、現代に続く開放経済時代にわたり、その流れに翻弄された兄弟と、その周辺の人々の生き様を通し、中国の人々の「経験」を見事に描いた作品。血なまぐさく、時には笑い、時には泣き叫び、それでもなんとか前へ進む人々の吐息すら感じることができそうな物語。まさに中国の人々のための物語だと強く感じた。

兄弟の幼少~少年時代を描いた上巻(文化大革命時代)と、成人となった兄弟のその後の運命を描いた下巻(開放経済時代)という2部構成で、合計1000ページという大作。上巻と下巻はそれぞれ悲劇と喜劇という構成。上巻は、それこそ登場人物たちと一緒に涙を流しながら読んだが、下巻になると一気に雰囲気が変わり、とにかくハチャメチャな展開にただ驚くだけだった。それでも最後にはすっとまとまり、最後には「なるほど」と納得させられた。

「激動の時代」という表現があるが、この頃の中国にこそ当てはまる表現だろう。人々の関係も時代と共にめまぐるしく変わる。しかし、その起点はあくまで「時代」。人々はただ翻弄されるのみ。昨日の敵は今日の友というと陳腐だが、権力者たちの流動的な関係性や、裏切り、裏切られる連鎖というのも暗示しているのだろうか。

国というものにも「善なるもの」があるとすると、まさに上巻では兄弟の父親の生き方を通して、それがいかに容易に潰されうるのか見て取れる。どれほどの善も、時代という力の前にはあっという間に潰されてしまう。やはり力なのか。または運なのか。打ちのめされる気分にならざるおえなかった。あの兄弟の父親は、ひょっとすると、天安門事件で戦車の前に立ち塞がった、あの一市民をイメージしているのだろうか…?

下巻の兄弟の関係性も興味深い。金と権力を手に入れた弟と、自己犠牲の精神を貫き続ける兄。ただの兄弟の関係性だけでなく、中国政府と人民の関係性も暗示しているのか。オレたち兄弟だろ?と一方的に指示する李光頭と、相手を立てて、盲目的に従う宋鋼の姿。「人民のために」などとのたまう国家を揶揄しているように見えなくもない。

とはいえ、やはり本作ではその兄弟愛は本物であり、互いの距離が時代と共に変わりながらも、最終的には強固な関係だった。同時に、別の人物の最後の終わり方には、結局時代に流されてしまう弱い人間も描かれている。

兄弟 上 《文革篇》

兄弟 上 《文革篇》

  • 作者:余 華
  • 発売日: 2008/06/25
  • メディア: 単行本
 
兄弟 下 《開放経済篇》

兄弟 下 《開放経済篇》

  • 作者:余 華
  • 発売日: 2008/06/25
  • メディア: 単行本