ハト場日記

Working, Reading, and Wondering

2020年に読んだ本を振り返る

2020年も残すところあと数日。月並みだが、あっという間の1年だった。コロナが世界を震撼させた1年だったが、個人として振り返ると、思ったほど影響がなかったような気もする。

さて、これまた月並みだが、今年読んだ本を振り返ってみた。読書管理をしている読書メーターによると、今年は37冊。多いか少ないかよくわからないが、恐らく例年通りのペースだったように思う。

印象に残った本をいくつか挙げると、まずはブログでも取り上げた余華の『兄弟』。

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現時点で読了してから数か月経っているが、今なお、後味のような余韻が残っているところを見ると、やはり何かしらの影響があったのだろう。長年気になってはいたが調べることができていなかった文化大革命の情景のようなものも垣間見ることができたのが大きい。 自分にも兄弟がいるものの、ほぼお互いに干渉し合わないという冷めた関係性もあり、どこか兄弟愛みたいなものに憧れもあるのかもしれない。

2冊目に挙げるとすると、川端康成の『雪国』だろう。 

雪国

雪国

 

かなり衝撃を受けたのだが、忙しい時期だったのかブログに書いていなかった。読書メーターに残っている感想を拾うと、次のようにある。

文学とは何なのかはわからないが、その「何か」を感じることができた。その点で、自分の読書人生での転換期となるかもしれない作品。美しい文章というのはこういうことなのかもしれない。情景豊かというはこういうことなのかもしれない。語らなくても伝わることもある。何度も読み返したい。

おそらく生まれて初めてだと思うが、その描写、文章に大きく感動した。どこか憧れを感じている時代が描写されていることも大きい。別に、自分が思っていて表現できなかったことを言語化しているとか、ストーリーにひねりがあって楽しめたとか、そういうことではなく、単に文章を読んでいて心地よかったのだ。こういった感情は、ある程度の読書を経験したからこそのものなのか、あるいはこの作品・著者だからなのかはわからない。読者としての自分の成長なのか、著者としての川端康成のすごさなのかわからない。できれば多少は前者だと思いたいが、やはり川端康成という人はすごいのだろう。

さて、最後にもう1冊挙げるとすると、まだ読書中ではあるが、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』。

Kindleで合本バージョンを購入して長らくデジタル積ん読しておいたもの。Go toなんちゃらで京都に一人旅に行くという機会があったので読み始めたのだが、読む手が止まらない。現在6巻。年内に読み終わると思っていたが、どうも年越しになりそうだ。ただ、焦る必要はない。ゆっくりと味わいながら竜馬の旅に付き添っている。フィクションだとは思っていても、大枠は史実ベースなので、読み終わってから史実を一つ一つ確認していく作業も楽しそうだ。司馬遼太郎の作品は、歴史を学ぼうという気持ちにさせてくれる。司馬遼太郎の功績はなんと言ってもそこにあると思う。

そのほかにも、ディケンズが思いのほか面白かったり、スタインベックの『ハツカネズミと人間』にも震えたりと、読書という意味ではよい1年だった。

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一方、年始に掲げたカミュ全集の読破はまったく進んでいない。こちらは来年に持ち越し。 

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