ハト場日記

Working, Reading, and Wondering

映画『共犯者たち』

まだ記憶に新しい朴槿恵退陣とろうそく革命。先日の知床観光船の沈没でセウォル号沈没のときの記憶を揺さぶられた人も多いだろう。その後の文在寅政権も終わり、つい先日新しい大統領として尹錫悦氏が就任した。左派政権からまた保守政権へと戻ったわけだ。

尹錫悦大統領についてはすでにいい話を聞かないのだが、しばらくどう進めていくのか注目。しかし、やはり李明博朴槿恵政権で続いていた言論封鎖の傾向に戻ってしまうのだろうかと不安ではある。

そういえばそんなテーマの映画があったなあと思い出して観たのが本作『共犯者たち』。日本でもたしか上映されていて、行こう行こうと思っているうちに上映終了していた。いつもの流れである。

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保守政権時代のマスコミ、特に公営放送のKBSとMBCの腐敗を暴いたドキュメンタリー映画で、監督は自身もMBCのPD(プロデューサー)であったチェ・スンホ。権力者、そしてそれに阿るメディアの上層部の暴挙が実際の映像や音声で暴かれている。対象は権力者だけでなく、その手下となって暗躍する「共犯者たち」である。権力の腐敗というのは、韓国映画で頻繁に取り上げられるが、そのようなフィクションの映画に負けない現実があった。

監督のチェ・スンホは映画公開後、文在寅政権時代にMBCに返り咲いている、だけでなく、なんと社長を就任していた。この映画はやはり韓国内では相当の影響があったのだろう。就任後には不当に解雇された人々の再雇用など、再建に取り組んだとされているが、日本語の情報では詳細はわからなかった。

さて、再び保守政権に戻ったわけだが、今後どうなるのだろうか。尹錫悦大統領就任演説に参席していた朴槿恵の姿がとても象徴的にも思えた。どれだけKBSやMBCは「まともな」状態に戻ったのだろうか。