ハト場日記

Working, Reading, and Wondering

『街道をゆく 6 沖縄・先島への道』司馬遼太郎

急遽沖縄に行くことになり、道中のお供に選んだ「街道をゆく」シリーズの沖縄編。こんなときはKindleが本当に手軽でよい。

本書の行き先となったのは沖縄本島と、先島と呼ばれる石垣島を中心とする離島エリア。沖縄の(主に厳しく苦しかった)歴史を思い出し(想像し)ながら歩く沖縄・先島。本編はどちらかというと紀行色が強く、同行した須田画伯の「奇行」も面白かった。須田画伯は「街道をゆく」シリーズの挿絵を描いている画家さんで、これまで読んだ中でも登場していたはずだが、今回はなんだか特に「輝いて」いた。ひょっとすると司馬遼太郎本人に思ったほどネタがなく、須田さんの描写が増えたのかもしれない。

今更ながら惜しいと思わされたのは、失われた首里の町並み。数年前の火事のことではなく、沖縄戦で焼失してしまった首里全体の破壊である。戦前までは、なんとも美しい町並みが広がっていたという。そのまま残っていれば、京都、奈良、日光と肩を並べる観光地になっていたとあった。沖縄は現在、日本でも有数の観光地となっているが、美しいビーチや自然がメインの観光資源となっている。そこに美しい首里の街がそのまま残っていれば、どれほど素晴らしい景観になっていただろうか。戦争は取り返しのつかない破壊を引き起こす。