ハト場日記

Working, Reading, and Wondering

中野孝次『すらすら読める徒然草』(講談社文庫)

先日読んだ『すらすら読める方丈記』に続いて、同じ著者による徒然草も読んでみた。

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こちらは全訳というわけではなく、ベストアルバムのような構成になっている。テーマごとに章立てられていて読みやすいが、著者本人も言っている通り、やはり通読するべきなのだろう。人生訓のようなものから、ちょっとした小話のようなもの、方丈記にありそうなシンプルライフをテーマとしたものなど、内容は様々。全体を通して教訓じみているので、少し煩わしく感じることもあった。

本書でも原文と現代語訳が併記されているが、驚くべきは原文の美しさ。訳文と比べるとわかりやすいが、非常にコンパクトな表現。これは古語(古文?昔の日本語?)の特徴なのかもしれないが、原文を読んでもわかるものについては、原文のほうが直に響いてくる。昔の日本語もよいものだ。

方丈記と比べると、個人的にはテーマが限定されていた方丈記のほうが好きだったし、内容としても共感できる部分が多かったと思う。ただ、徒然草は通読したわけではないので、比較するのも変な話だ。徒然草については少し時間をおいて、ざっとすべてを通読してみたい。