ハト場日記

Working, Reading, and Wondering

映画『無垢なる証人』:あなたは「いい人」ですか?

ある事件の目撃者となった自閉症の少女と、その容疑者を弁護する人権派弁護士の物語。自閉症という難しいテーマを取り上げながら、かなりリアルな表現に徹し、非常によくできた映画だと思った。ダークサイドへ足を踏み入れるべきか悩む弁護士の葛藤も描かれていたが、やはり主役は自閉症の少女ジウだろう。

そのジウを演じたキム・ヒャンギがとにかく輝いていた。どこかで見た気がしていたが、ハ・ジョンウ出演の『神と共に』で出演していたようだ。自閉症が実際にどういう感覚なのかは当然わからないのだが、社交不安障害持ちとして、あのパニックの感じがとても生々しく感じ、涙が出るほど。あくまで映画の演出だとはいえ、実体験にそこそこ肉薄した表現だったのではないかと思う。

弁護士役のチョン・ウソンはよく見る俳優さんで、ここ数年見た中では『鋼鉄の雨』が素晴らしかった。検事役(Netflixで見れる『秘密の森』に出ていた人)も地味によかった。

この映画については個人的にはシナリオもすごくよく、だいたいケチを付けるのが好きな正確なのだが、エンディングまで大満足。青臭いと感じる人もいるかもしれない。しかし、○○の前にオレたちは人間なんだ。過去の過ちも認め、社会的にどうなろうとも、人間として前に進もうという姿は嫌いではない。