ハト場日記

Working, Reading, and Wondering

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

余華『兄弟』|時代に抗うことはできないのか

忘れるなよ。オレたちは兄弟だぜ あの文化大革命から、現代に続く開放経済時代にわたり、その流れに翻弄された兄弟と、その周辺の人々の生き様を通し、中国の人々の「経験」を見事に描いた作品。血なまぐさく、時には笑い、時には泣き叫び、それでもなんとか…

映画『泥の河』

戦後間もない大阪を舞台とした映画。原作は宮本輝。製作は1981年。 主人公は川辺でうどん屋を営む3人家族と、川向かいに「引っ越してきた」家船で暮らす3人家族(家船に住む家族の母親は友情出演に近いが)。少年2人の友情、家族の絆、そして生々しい戦争の…

井伏鱒二『黒い雨』

おおい、ムクリコクリの雲、もう往んでくれえ、わしらあ非戦闘員じゃあ。おおい、もう往んでくれえ 毎年この時期には太平洋戦争関連の本を読んでいる。今年はコロナで頭がいっぱいだったのか、気がついたら8月6日を迎えていた。これはいかんと本棚を見たとこ…